京都マラソン大作戦20
加茂街道に入り少し進むと
河川敷のコースを走った
緩やかな下り道で
視界が開けてきた
たけしの応援のおかげもあり
ペースは徐々に戻りつつあった
なんとかこのままゴール出来れば・・・・
そう思っていた時
再び俺の携帯が鳴り響いた
「店長お疲れ様です今どの辺りですか
」
「賀茂川の河川敷を走ってるわ」
「体力はまだ残ってますか」
「そうやな!今は下り道やしさっきよりは余裕があるわ」
「そうですか!よく聞いてくださいね
まだ前かがみになっているのでもう少し目線を上げてください」
「わかった」
「それから40キロ手前の今手川通りは上り坂になっています
ここは狐坂と同じように腕を強く引いてゆっくり上がってください」
「わかった」
「いいですか!緩やかな坂道ですけど、35キロ走った後です
狐坂をもう一度走ると思ってください」
「わかった」
「絶対に無理をしないで、力を残しておいて下さい
そし下りに入ったらゆっくりペースを上げて
40キロ地点からの残り2.195キロをラストスパートして下さい」
「わかった頑張ってみるわ」
「いいですか!このペースで行くと4時間30分でゴール出来ますよ」
「えっ4時間半
」
「そうです!悔いの残らないように頑張ってください」
「わかった!出来るかどうかわからんけどチャレンジするわ」
「頑張ってくださいゴールで待ってます
」
俺は電話を切るとスピードを上げた
不思議だった
いつもならさっきの電話のように
怒鳴っていたはずだが・・・・・
狐坂を過ぎてからケンが神様に思えてきた
そういえば・・・・・・
マラソン出場が決まってから
ケンはネットで調べて
何度も的確なアドバイスを送ってくれていた
それなのに俺は・・・・
さっきも電話で怒鳴ってしまった・・・・・
俺はケンに申し訳ない気持ちで一杯だった
やっぱり本当に何か持っているのは
ケンかもしれない・・・・・
いやケンは間違いなく持っている・・・・・
俺はこの時初めて気が付いた・・・・・・
ケンのアドバイス通りに走って
絶対に4時間30分を切るぞ
心に強く誓った
ゴールまであと7キロを切っていた・・・・・
続く・・・・・・・
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